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海外承認のしくみ

1.海外承認とは

海外承認とは、海外の認定・承認機関から企業が直接ハラール認証を取得する代わりに、海外の認定・承認機関が認める日本国内の認証団体から認証を取得することで、それらの国で有効なハラール認証を取得したことになるというしくみです。

湾岸諸国や東南アジアのイスラーム圏には、政府がハラール認証を管理し、政府機関が定めた「ハラール認証基準」に基づいて認証を行っている国があります。国内法によってハラール認証品の規定があるため、海外からの輸入製品についても、自国の認証機関が承認した海外ハラール認証団体(FHCB)が認証したものでなければ、ハラール認証品として認められません。

当協会が発行するハラール認証書が、多くの国で有効なハラール認証書だと認められ、認証を取得する企業の利便性を高めたい。そうした思いから、当協会では各国の要求事項に応じて「認証基準の整備」「組織運営の強化」「監査員のトレーニング」を行い、国際的な認証団体と認められる為の地道な努力を積み重ねてきました。

その結果、日本国内において、最も多くの国々から承認・認定を受けるハラール認証団体となりました。

2.当協会が承認・認定を受けている海外のハラール認証機関

◇ 湾岸諸国認証機関(GAC)GSO2055-2認定 取得
◇ UAE承認機関(ESMA)ハラール認証機関認定 取得
◇ マレーシア政府ハラール認証機関(JAKIM) 相互承認取得
◇ インドネシア インドネシアウラマー評議会(MUI) 相互承認取得
◇ シンガポールイスラーム評議会(MUIS)相互承認取得
◇ タイ中央イスラーム機構(CICOT)相互承認取得
◇ 台湾 台湾清真産業品質保証推廣協会(THIDA) 相互承認取得
◇ トルコ(HAK) OIC/SMIIC-2認定 取得

世界のハラール承認機関による組合:
◇ 世界ハラールフード機構 World Halal Food Council (WHFC)メンバー

 

海外承認・認定状況一覧表

組織名 取得年 取得状況 認証基準 承認カテゴリー 備考
1 マレーシア JAKIM 2012 MS1500:2019
2
インドネシア MUI 2019 HAS23000 原料、添加物、加工助剤、屠畜
BPJPH 書類監査完了 SNI99001:2016
3 シンガポール MUIS 2013 HAS Singapore
4 UAE ESMA 2017 UAE.GSO2055-1 加工食品、屠畜、動物飼料、

化学・生化学(食品添加物、香料、化粧品、医薬品)

屠畜取得

2021年6月

5 湾岸諸国 GAC 2016 GSO2055-1 加工食品、動物飼料、

化学・生化学(食品添加物、香料、化粧品、医薬品)

屠畜除く
6 タイ CICOT 2018
7 台湾 THIDA 2020
8 トルコ HAK 2024 OIC-SMIIC-2 化学・生化学背品

 

 

3.インドネシアの承認移行について

インドネシアでは、これまで民間組織であるMUI(インドネシア・ウラマー評議会)とLPPOM-MUI(インドネシア・ウラマー評議会の食品・医薬品・化粧品検査機関)がハラール認証業務を行っていましたが、JPH法(ハラール製品保証法)が2019年に施行され、ハラール認証業務はMUIから宗教省管轄BPJPH(ハラール製品保証実施機関)へ移管されました。

海外認証団体の相互承認業務についてもMUIからBPJPHへ移管されましたが、その移行手続きは、BPJPHによってMUIの承認取得済みの海外認証団体から優先的に行われています。当協会は2022年9月現在、承認プロセスの中の書類審査は完了しておりますが、今後、インドネシア政府と日本政府のGtoGの手続きが必要になります。それらが完了次第、正式にBPJPHからの承認を取得する予定となっております。

インドネシアJPH法の詳細はこちらから:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2021/69adcd711bad94cb.html

 

4.承認(recognition) と認定(accreditation)の違い、相互承認の必要性

海外認証機関には次の二種類があります。

マレーシアのJAKIM(政府機関)、インドネシアのBPJPH(政府機関)、シンガポールのMUIS(半民半官)、タイのCICOT(半民半官)などは、海外のハラール認証団体(FHCB)を独自の基準に基づいて承認する承認機関(recognition/certification body)です。

一方、UAEのESMA/ENAS、湾岸7か国の認定機関の集合体Gulf Accreditation Center(GAC)、インドネシアBPJPHと協業して海外の認証団体承認を行っているKomite Akreditasi Nasional (KAN)などは認定機関(accreditation body)で、日本では日本適合性認定協会(JAB)のような存在にあたります。

独自の基準をもって承認する承認機関 (recognition/certification body)と異なり、認定機関(accreditation body)は、ISO/IEC17065などに基づいて各国のハラール認証団体が適合するか否かを認定します。最近の傾向としては、ISOに基づいた認定がハラール認証団体の良し悪しを計るために大変有効であるという認識が、承認機関の間でも広まっており、承認機関も積極的にISOに基づく認定基準を独自の基準に取り入れる傾向にあります。

インドネシアBPJPHにおいては、認定機関(ESMA/ENAS、GACなど)から認定を受けていない海外のハラール認証団体は、BPJPHxKANのコラボで承認+認定をするという手法をとっています。

GAC、ESMA、KANなどが行う認定には、ハラール認証団体に対する認定基準+ISO/IEC17065(適合性評価、製品、サービスの認証を行う機関に対する要求事項)及び、ISO/IEC17021(適合性評価マネジメントシステムの審査及び認証機関に対する要求事項)などの規格が用いられます。

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ISO単体であれば国際的な基準をクリアした認証団体だという証明にはなりますが、ハラール認証には他の工業規格とは異なる事項が多く含まれ、とりわけイスラームに精通した専門家がいること、ムスリムの組織であること、ハラールの原則的な要求事項など、独自の事項が含まれます。

従って、GACなどのハラール認定機関は、ハラールの特殊な要求事項を認定の中でカバーするために、ISOとその国独自のハラール認証基準を認定の際に使用します。昨今ムスリムではない欧米の大手ISO認証団体がハラール認証を実施するケースも増えてきていますが、基本的にムスリムでない認証団体は、GACなどのハラール認定機関からハラール認証団体として承認・認定されることはありません。

昨今、ハラール認証がハラール産業に有利に活用できるツールとして広まり、世界的にハラール認証団体が増加していますが、それに従い、認証団体の信頼性を確認する必要性が高まっています。

また、GCC諸国は2015年から、サウジアラビアやインドネシアは2019年、タイは2020年、そして最新のトルコは2023年(予定)から、自国に輸入されるハラール認証製品について、自国の認定機関が承認した海外のハラール認証団体が承認した認証品に限る等の法律を制定したり、輸入規制を設け始めるなど、海外相互承認の必要性が高まっています。

 


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